観光で訪れるのと、住むのとでは、その国の印象が変わることがあります。
素晴らしいと思っていたことを、より好きになったり。
観光では知りきれなかった「住んだから分かる」ことを発見したり。
好き嫌いの基準も人それぞれで、海外で個人の置かれた環境や好みでも見方が変わってきます。
今回は「日本の好きでもあり嫌いでもあるところ」への反応を5つまとめました。
意見をもらったアメリカ人は日本が大好きで、日本に住むことをとても楽しんでいます。
大好きな国だからネガティブなことは言いたくないけど、こんな視点もあるという事を知ってもらえれば…
そんなアメリカ人の気持ちを尊重し、正直なリアクションをシェアさせて頂きます。
1.食
【好き】
日本食はヘルシーなだけでなく、味も美味しく、体にエネルギーを感じる。
盛りつけや器にもこだわる、そのプレゼンテーションにも感動するそうです。
日本が長寿国である理由は、食べ物を見れば納得すると言っていました。
また日本では日本食だけでなく、世界各国のユニークな食べ物が食べられるところも魅力だそうです。
日本に住むアメリカ人が、アメリカンフードを食べたければハンバーガーやピザ、ステーキなど思いつくものなら何でもあります。
それだけでなく、韓国、中華、インド、イタリアンなど思いつく限りの多国籍料理が食べられます。
そして日本食とひと言にいっても、お寿司、とんかつ、鰻、フグ、たこやきなど、その種類の豊富さも、アメリカとは比べ物にならないと言っていました。
食通の人が毎日外食をしても飽きないほど、魅力的な食べ物が日本には詰まっている。
最先端のレストランやグルメが食べられるのも楽しいし、お魚やシーフードが安く新鮮と言っていました。
【嫌い】
その一方、日本に住む外国人がみな日本食が好きという訳ではないという事を教えてくれました。
例えばアメリカ人でお米を食べ慣れている人もいれば、お米ではなくポテトを食べる人もいます。
お魚が好きな人もいれば、苦手な人も。
お米も魚も苦手な人は、日本での食生活にかなり苦労するそうです。
例えばアメリカは牛肉が安く、かなり手軽に買えますが、日本の牛肉はお魚と比べ割高です。
自分の好みで食べるものを選り好みしているとお金がかかる。
ファーストフード店は日本に沢山あるものの、日本のローカルのように暮らすには、食文化に慣れることは大切だと言っていました。
日本はやはりお魚が安く、食費を抑えるには欠かせない選択肢だそうです。
また何でもある日本ですが、恋しくなっても手に入らないものや、高くて買えない輸入物も意外と多くあるようです。
例えばマカロニチーズ、シリアル、安いピザ、電子レンジで作れるポップコーン、ポップタルトなどなど。
食が合わず日本が嫌いになるということはないですし、個人の好みで意見が分かれると言っていました。
ただ嫌いなところの1つになることもあるそうです。
2.住み心地
Source: Mikael Leppä
【好き】
交通機関がとにかく最高!
JRと地下鉄だけでも最高なのに、バスまであってどこへ行くにも困らない。
交通機関の頻度に驚くだけでなく、時間通りが当たり前で、1分程度の遅延でも「お詫び」のお知らせがでる。
ヨーロッパや他の国でも交通機関が便利なところはあるが、日本ほど便利で正確な国はないと言っていました。
スイカやパスモのような電子カード1枚で、電車と地下鉄、しかもバスまで全部まとめて運賃が払えるのも便利すぎる。(お買い物もできちゃうことには大感激!)
他に便利なのはコンビニと自動販売機。
コンビニでは何でも買えるだけでなく、お金をおろしたり、請求書の支払いをしたり、荷物も送れる!
いつ行ってもきれいで清潔、サービスも素晴らしいし、とにかく街中のいたるところにある!
自動販売機も沢山あるだけでなく、飲みもの、タバコ、お酒、食べ物、お菓子、色々なものが手軽に買える場所もある。
Source: Janne Moren
都内のコンビニは24時間営業がほとんどで、夜中に行っても安全。
安全といえば、落とし物が自分の元に戻ってくる確率は日本は高いと驚いていました。
そしてその落とし物を預かってくれる交番のおまわりさんも親切で、迷子になると親切に道案内までしてくれる。
生活環境で好きな点は挙げたらキリがないそうですが、交通機関、コンビニ、安全性は大きなポイントだと言っていました。
【嫌い】
一方、日本の家の造りは「狭く感じるのだよね」と言っていました。
もちろん住む地域やどんな家に住むのかが異なれば、意見は変わってくると思います。
しかし、日本の一般的なお家の作りはアメリカに比べ小さめなのだとか。
天井が低めなので狭く感じるのかもしれない、とも言っていました。
もちろん日本の家とひと言にいってもさまざまなので、比べるのは難しいのですが、平均的な日本のアパートやお家が比べる対象になっています。
アメリカも州や住むエリアによって、住居の環境は大きく異なります。
ただ、平均的なアメリカのお家の天井は日本より高めに感じますし、仕切りがあまり多くないので開放的に感じやすいかもしれません。
3.仕事
Source: SnippyHolloW
【好き】
日本人の仕事に対する姿勢は、日本のベストカスタマサービスに繋がっていると言っていました。
「お客様は神様」という日本の言葉を聞いたことがあったようで、日本人はその言葉通り本当にお客さんを神様のように扱ってくれる。
お買い物に行けば、店員さんは必要なものをすべて見つけられたか、「そこまでしてくれるんですか」と思うほど親切にしてくれる。
ある時オンラインでお買い物をして、間違ったサイズのものをアメリカ人が購入してしまった時のこと。
サイズ交換をしてもらおうと、レシートを持ってお店に行ったそうです。
しかしそのデザインでアメリカ人の欲しかったサイズは店頭になく、他の店舗にも確認してくれましたが、全店で売り切れ。
仕方がないので返品ができるか聞くと…
「お探しの商品でお客様のサイズがご用意できず、大変申し訳ございません」
そう言われ、とても驚いたそうです。
アメリカ人は、自分がしっかり確認せずサイズ違いで買ってしまったことに、やや後ろめたい気持ちがあったそうです。
しかしそのミスに対し何かを言われることがないだけでなく、快くサイズ違いを探してくれ、最後には「お客様の希望にそえず申し訳ない」なんて丁寧に言ってもらえ、感激してしまったそうです。
日本の従業員さんは態度、言葉遣い、おもてなしなど全てが素晴らしすぎる。
「こんなことは日本でしか起きない!」そう言っていました。笑
【嫌い】
その一方で、「働きすぎる日本人」は見ていて辛くなることがあると言っていました。
通勤電車での疲れた表情、浮かない顔で仕事に向かう人。
終電でぐったりと居眠りをするサラリーマン。
朝から晩まで飲食店で働く人を見て、「この人は今日家族と過ごす時間はあるのか」と心配になるそうです。
アメリカでもワークホリックな人はいますが、日本のレベルは比にならないそうです。
また「日本の文化的背景からくる働く者に対する期待」は恐ろしく高いと言っていました。
サービス残業、休日出勤、終電帰宅…
働く会社や環境によって状況は異なると思いますが、日本の働く環境は一般的なアメリカのものよりストレスが多いように感じるそうです。
「忙しく働くお父さんとあまり顔を合わせない」
私はそんな幼少期を過ごしたのですが、それが普通だと思っていたという私の発言にとても驚いていました。
4.流行
Source: Dick Thomas Johnson
【好き】
日本はさまざまな事が発展している国で、便利で快適に暮らすのに申し分がない。
欲しいものや必要なものがあれば、何だってすぐに手に入る。
新しくやってみたいと思う事も、都会にいればすぐ始められるほど、何でも手の届くところにある。
日本人はお洒落な人が多く、街で見かける人は何か流行のものを取り入れていたり、流行に興味がなくても、きちんとした服装をしている人が多い。
日本にある沢山のサブカルチャーは、日本のユニークなものの1つで、それぞれが新しい流行を発信し影響力を持っている。
都会では新しいレストランやお店も毎日のようにオープンして、トレンドは頻繁に入れ替わる。
とても刺激が多く、話題が尽きることがないと、目をキラキラさせながら話してくれました。
Source: Albert Izquierdo
【嫌い】
流行を追う日本人は「大きな群れ」のように見えることがあると言っていました。
そのグループと一緒の行動をしないと、その環境に適応していないような、置いて行かれるような気持になってしまう。
自分には必要でないものを、「買った方がいいのかも」と思わせる何か。
何かははっきり分からないけれど、アメリカで感じなかったものを日本で感じることがあると言っていました。
流行だけに限らず、グループの持つプレッシャーのようなパワーは大きいそうです。
自分がどう感じるのかを言いずらく、自分が良いと信じるものを周りに影響されずに貫くのは、日本では大変だと感じることがあると言っていました。
グループやコミュニティが悪いという事は全くなく、それを心地よく思う人もいると思いますし、アメリカにもそういうものは存在すると教えてくれました。
しかし流行遅れや仲間外れ、または「あの人は変わっている」なんて言われることなどを含め、グループから外れることで起こるネガティブな事もあると言っていました。
5.友達
Source: ginomempin
日本人は礼儀正しい、大人しい、行儀がよい、仕事熱心、謙虚などなど。
どれも私が話していたアメリカ人の、日本人に対する印象です。
日本人は優しい人が多く、日本に住み働く上で人に恵まれていると言っていました。
しかし友達を作るとなると「距離の取り方が分からない」と言っていました。
日本独特の「本音と建前」という言葉を学び、日本人はそれを会社のような特別な場所だけでなく、わりとどんな状況でも使い分けると知り「難しい…」と思ってしまったそうです。笑
アメリカでも、上司から「これ明日までにやっといて」と言われ「いや無理ですよ」と思っても、そうは言わない場面というのはもちろんあると言っていました。
でも親しい友人同士や家族、または夫婦関係では「できるだけ相手に正直に」という考えが、そのアメリカ人にはあるそうです。
「建前」で何かをしたり言ったりすることは、「相手に正直でない」ような気がする。
それをもしパートナーや友人に繰り返されたら、何が本音で、どれが建前なのか分からなくなってしまう。
以前「海外の人がマジと映画に反応『信じられない日本文化』」で紹介した、映画「おくりびと」の1シーンを覚えていますか?
不本意でありながら、旦那さんの提案に笑顔でだまってついてきた奥さんが、たまった不満を旦那さんにぶつけるシーン。
旦那さんのことが好きだからと本音を隠し、建前で何も言わず納得したように振る舞っていた奥さん。
それを知らなかった旦那さんは、不満がたまった奥さんに「あのとき本当は悲しかった」と言われ驚きます。
本音と建前という言葉を聞いて、「そういえばアメリカ人がこんなコミュニケーションはキツイなぁって、おくりびとを観ながら言っていたな…」なんて考えました。
アメリカ人に聞かれたのですが…
先日知り合った「お友達になれるかも」と思った日本人に、「また今度機会があれば!」と別れ際に言われたけど、その言葉をどう受け止めれば良いのかと。
それを本音と思い、また連絡して失礼にはならないか。
または、その言葉には表面下の意味が込められているのか。
日本人として本音と建前には慣れていたつもりでしたが、それを聞いて私も分からなくなってしまいました。笑
それにその状況でもし表面化の意味があったとすれば、「建前」というより「社交辞令」とも言えるような気がしました。
建前、社交辞令、愛想、お世辞など…これを全部アメリカ人が知ったらもっと混乱すると思い、もし聞かれたら答えようと思いました。笑
上司と部下、先生と生徒、先輩と後輩などの関係性がない状況でも、日本人はどれほど本音と建前や社交辞令などを使い分けているのか。
友達間などで「距離の掴み方が難しい」といったアメリカ人の気持ちに、「確かに難しい」と共感してしまいました。笑