日本語を母国語とする日本人の私でさえ「日本語って難しいなぁ」と感じることがよくあります。
恥ずかしお話ですが、書けない、読めない漢字は沢山ありますし、読み間違いや言い間違いも多いです。
尊敬語、謙譲語などを正しく使い分けている自信もありません。
それが日本語を母国語としない海外の人であれば、日本語を勉強する際に一体どれほどの壁にぶつかるのだろうと思います。
そして、実際にそれは私の想像を遥かに超えていました!
今回は、学校などに通わず、自力で日本語を勉強しているアメリカ人の「日本語へのコメントや質問」で、想像以上でビックリさせられたものを紹介します。
「そういうところが日本語って難しいんだ」と、海外の人の苦悩からたくさんの発見がありました!
7選いってみましょう!
1.shite/shitteいますか?
「何をshiteいますか?」
「何をshitteいますか」
「知って」と「して」の発音、言われてみればものすごく似ていますよね。
私が話していたアメリカ人の発音は、どうしてもどちらも「して」になってしまうそうです。
「っ」の音は、英語にも似たような音があるから問題ないと思っていましたが、非常に難しいそうです。
言われてみれば確かに、「っ」の入った英語を考えると、日本語では「グッドラック」といいますが、英語では「Good Luck」。
小さな「ッ」の音を、英語では日本語のようにはっきりと発音しません。
私が何度か発音してあげても「うーん、どちらも同じに聞こえる」と悩んでいました。
2.「お父さん」って誰?
アメリカ人が「となりのトトロ」を観ていたとき。
めいちゃんが自分のお父さんを「お父さーん」と呼んでいるのを聞いて、「んっ?」と思ったそうです。
「めいちゃんは自分のお父さんをお父さんって呼んでた」
「お父さん」は「誰かのお父さん」と学んだと言われ、私も考えました。
「あのメガネの人は、メイちゃんのお父さんだよね?」
「そうだよ」
「自分のお父さんは、父だと書いてあったよ」
そう言われ、確かにそうだけど、自分のお父さんを父と呼ぶ人、お父さんと呼ぶ人といるしなぁ。
でも「父」は、誰かのお父さんには使わないしなぁ。
でも誰かのお父さんについて話すときは「あなたのお父さんは…」って聞くし、聞かれる。
この時のお父さんは確かに「誰かのお父さん」なんだよなぁ。
私がそんなことをぶつぶつ言っていると、さらに衝撃の質問が飛んできました。
義理のお父さんを呼ぶときは「お父さん」?
「お父さん」という日本語を学ぶことが、こんなに難しいとは想像もしませんでした。
日本語の「お父さん」深いですね。
3.おじさんとおじいさん
アメリカ人が私の叔父に「おじ(い)さんは…」と日本語で話しかけたとき。
叔父が「おじいさんって言われちゃったよ、参ったな」と笑い始めました。
「へ?!おじ(い)さんじゃないの?」
そうアメリカ人が困惑していたので、二人の間に生まれた誤解を説明しました。
叔父は新たな発見をしたようで「難しいもんなんだね」
そのアメリカ人の「おじいさん」の発音は完璧なのですが、「おじさん」にどうしても「い」の音が入ります。
どうやら「じ」を「い」なしで発音するのが、かなり難しいらしいです。
発音や聞き取りに関しては、「虹」と「2時」、「買っています」と「飼っています」のように難しいものはあるだろうなと予想はつきました。
でも「おじさん」は新発見でした。
4.百と早く/かわいいとこわい
まずは「百」と「早く」。
ゆっくり発音してもらうと違いは分かるけれど、文の中でさらっと使われていたら聞き分けられないそうです。
次は「かわいい」と「こわい」。
日本語ネイティブの日本人から見たら「か」と「こ」で始まりが全然違うし、「4文字」と「3文字」だしと思うでしょうか?
面白いことに、私と話していたアメリカ人が発音すると、「こわいい」や「かわい」となることがしばしばで、この2つはとても似て聞こえます。笑
「なんでだろう?」
気になり考えてみました。
「こ」と「か」の発音の区別が難しいのかな。
英語にもありますが、口の微妙な開き具合の違いで、発せられる音がだいぶ変わってきます。
「こ」の口で「か」を言おうとすると、「こ」にしか聞こえないですよね!
またアメリカ英語では、単語を音節ではっきり区切って発音はせず、いくつかの音がスムーズにつながっています。
例えば日本語で「ミルク」は、それぞれの音を区切り、3つの音をはっきり発音します。
しかしアメリカ英語では「milk」となり、音をバラバラにせず、1つのまとまりとして発音します。
それゆえ、「ミルク」という日本語の発音のまま綴りを書くと「Miruku」のような感じになってしまいます。
これを考慮すると、アメリカ人に「日本語は2つのアルファベットで1つの音というのが多いよね」と言われることにも、すごく納得がいきます。
日本語ネイティブが日本語の感覚で「Miruku」が言いやすいように、アメリカ人にとっても「kawaii」は「kwai」。
「kowai」も、「kwai」と英語寄りの発音になるのかなと思いました。
発音の仕方がよくわからない場合、動画を見るとスッキリします!
5.「ありがとう」と「ありがと」
「ありがとう」は5文字で成り立っていますが、「う」が曖昧に発音されることが多いですよね!
そのアメリカ人は「ありがと」と言いなれてしまい、つい「う」の存在を忘れてしまうそうです。
改まって手紙などを書く際に「う」を落とし、「ありがとございました」と間違えてしまうことがあると言っていました。
もうひとつ予断ですが「ありがとう」の「り」の発音。
ローマ字で「Arigatou」と書きますが、日本語は「ri」ではなく「li」と発音しますよね。
「L」と「R」は英語ではまったく違う発音になりますが、日本語では同じです。
日本語を知らない海外の人は「ri」の入った日本名を、英語のように発音します。
それゆえ、私の名前「Yuri」(実際の発音はYuli)も、アメリカ人からは「ゆri」と呼ばれます。
6.複数形に決まりがない
アメリカ人が、家族のメンバーを紹介する日本語を学んでいたとき。
「姉が2人いますって文だけど、複数形じゃないよね」
確かに英語の感覚で言うと、「姉たちが2人います」です。
英語を学ぶ日本人としては、英語の複数形や単数でも冠詞が必要になってくることに戸惑います。
しかしアメリカ人も複数形がない表現に戸惑うという事実は、私にとっては大きな発見でした。
7.履く/着る/被る
ある日「履いています、着ています、被っています」の違いを聞かれました。
違いを説明するのは難しくはなかったのですが、日本語を一から学ぶ人にとっては大変だろうなぁと思いました。
英語ならputで全部まかなえちゃうような表現です。
英語は色々ややこしいと思っていましたが、言語にはそれぞれややこしいことがあるなと気付かされました。
私は日本語が「話せる」だけ
この経験を通じ、言語が話せるのと、言語を教えられる能力は別物だと痛感しました。
私は日本語のネイティブです。
しかし、当たり前になってしまったことへの質問は、今まで意識して考えたこともなく、うまく明確に説明できませんでした。
逆に英語はネイティブではありません。
しかし「なぜ」という自分なりの疑問を解決しながら、一から学んできました。
それゆえに、「なぜ」という英語に対する質問は、「日本語よりも」ですが、明確に答えられる気がします。
母国語を正確に使いたいという思いは、英語を学び始めてから強くなりました。
美しく正しい日本語を伝えていけるよう、もっともっと母国語を学ばなければと思います。