日本に住む日本人にとっては、当たり前のように受け入れられ「文化」として馴染んでいるもの。
日本社会にいれば驚くこともないようなこと。
それらを見て外国人は、「信じられない!」と驚くことがあります!
実は日本の映画からは、日本について学べることがたくさん。
その文化が良い悪いというものではなく、初めて知った自国以外の文化に海外の方が驚いたときのリアクションです。
今回は「海外の人(アメリカ人)が思わず信じられないと言った日本文化」5選です。
1.生徒を叩く、立たせる
まずは映画「トウキョウソナタ」。
東京に住むどこにでもいる家族に起こるドラマを、家族の崩壊から再生までものすごくリアルに描いた作品です。
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この映画からの1シーン。
主人公の男の子が、授業中にクラスメイトから回ってきた漫画本をまわそうとして、先生に見つかってしまいます。
それに対し先生は「くだらない」
「こういうことをするやつを、俺は心の底から軽蔑する」
そう言って、生徒がまわそうとしていた漫画本で、生徒の頭を叩きます。
「後ろに立ってろ」
これを観てアメリカ人は「うそでしょ…」とものすごくビックリ。
確かに私もはじめて先生に頭を叩かれたとき、ショックをうけました。笑
「アメリカ留学に猛反対!絶対に失敗する」でも触れた、高校生のとき教科書で先生に叩かれた話をアメリカ人にしました。
「オーマイガッ…」
もう言葉にならないくらいショックを受けていました。
私は実際に経験したことがあったので、そのシーンを観て「あぁ私も叩かれたことあったな」くらいしか思いませんでした。
生徒を立たせることも「そういうこともある」くらいな感覚です。
でもアメリカでは、どんな理由であれ生徒をそんな風に扱ったら大問題になるそうです。
叩いたりしたら、学校側が訴えられ、先生が解雇されるなんてこともなくはないと言われました。
日本でも問題になるかは分かりかねますが、生徒と教師という立場で、先生は絶対的な立場と信じていた私は何も言いませんでした。
学校というシチュエーションでなくても、人の頭、ましてや子供の頭を叩くなんて「絶対にダメ!」と言っていました。
2.絶対的な父親の存在
もう1シーン、映画「トウキョウソナタ」から。
とてもリアルに、夕飯時のとある家族の食卓での様子が描かれています。
席につくお母さん、息子二人。
お父さんがビールをグラスにつぎ、飲み干し、またついで飲み…
みんななかなか食べ始めません。
そしてお父さんが「いただきます」と言った瞬間、家族みながいっせいに食べはじめました。
「これは映画の中の話?」
そう聞かれました。笑
どこの家族でもこうするのかは分かりませんが、日本の我が家では父の存在はこの映画と似ています。
お鍋がでてくれば、父親の器にまずよそいますし、父親が席につくまで食べ始めることはありません。
私の父は厳しい人ではないですが、家族の中で父は絶対的な存在で、母は私たちがそういう考えになるよう父の存在を特別に扱いました。
日本のファミリー全てがそうではないとおもいますが、こういう考えを受け継いでいる人は、多いのではないかと思います。
そんな話をしたら、「なぜお父さんなの?」と聞かれました。
私の両親は共働きでしたが、「お父さんが一生懸命働いてくれるから」と母はいつも父を立てました。
女性が社会進出する前の考えを、私の両親は今も受け継いでいます。
「トウキョウソナタ」の中でも、お父さんが突然リストラされてしまい、家族に言えず、いつもの出勤を装ってハローワークに行くシーンがあります。
映画のお母さんは専業主婦で、お父さんの収入が家計を支えていました。
お父さんに何かあったら家族が路頭に迷ってしまう…
日本のお父さんがこんなリスクを背負うこともあるという事実を、この映画から学んでいました。
アメリカにもお父さんが家族を養っていくという考えが、昔はあったかもしれませんが今はほとんどないと言っていました。
かといって、女性が働きにでて、男性が家事の全般をこなしている夫婦が多いわけではありません。
しかし日本のように「お父さんが一家の大黒柱」と考える人は、少ないのではないかと思います。
もちろん日本にもアメリカにも色々な家族の形があるので、例外はあると思います。
私が一緒にいたアメリカ人は、家族を支えるという意味では、夫婦でバランスを取っている人が多いと言っていました。
食卓では、家族によってはお祈りをしてから食べることもあるので、皆がそろってから食べるという考えはあるかもしれません。
でもお父さんを待たなければならないという考えには、驚くアメリカ人が多いのではないかと思います。
深く話していけばキリがありませんが、日本の昔ながらの父親像というものに驚くアメリカ人は多いのではないかと思いました。
それは「ちゃぶ台返し」のゲームを見て、私が説明を加えたときのアメリカ人のリアクションが物語ってしました。笑
3.火葬場
【注意】お葬式や火葬場での話を詳しくします。聞きたくない方はここで一時停止を押して、下の説明欄に時間がでているので、次の目次までスキップして下さい。
映画「おくりびと」から。
納棺師として働くことになった男性の成長を描いた、笑いあり感動ありの心温まる映画です。
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火葬場に皆が集まり、棺がいろりに入っていくシーン。
棺がいろりに入りった後、いろり側から参列者の方へカメラアングルが変わったとき。
ものすごくビックリした表情で、アメリカ人の方が私の方を向いていました。
その表情は「ここまで見届けるの?!」と訴えている様でした。
アメリカでもハワイでは、土葬も火葬も一般的に行われます。
しかし火葬の場合でも、火葬場へ行くことはないそうです。
日本のことをもっと知ってほしいという思いから、日本の収骨の仕方なども説明しました。
「アメリカ人のWHY反応が止まらない『日本で失礼なこと』」で触れた、お箸のマナーを思い出したそうです。
そして前回は触れなかった、日本では骨上げをするという事実を話したとき、火葬したあと「骨が残るってこと?」と驚いて聞かれました。
このときはじめて知りましたが、アメリカでの火葬は、日本の様に骨上げをし収骨はしないので、骨を残さず灰になるまで焼くそうです。
日本では足から頭部に向かい、順に骨を骨壺に納めていくという事実を伝えると、言葉を失っていました。
私はいままでの人生で1度しか火葬場に行ったことがないので、正直なところ日本の形式にも慣れていません。
それゆえ「日本の火葬」に対するアメリカ人の観点が、とても良く理解できます。
いままでは日本の形式しか知らなかったので、それが当たり前であり、その当たり前になれることが当たり前だと思ってきました。
同じ形式でも、その過程がかなり異なってくることもある。その小さな学びは、私には大きなインパクトを与えました。
アメリカの土葬を見慣れていない方であれば、土葬の形式に「信じられない」と思うこともあると思います。
視点を変えて日本を見るというのは、本当に興味深いです。
4.奥さんの我慢
映画「おくりびと」から、もう1シーン。
主人公の仕事が納棺師であることが奥さんにバレてしまい、夫婦で話し合いのとき。
旦那さんにその仕事をやめて欲しい奥さんが、胸の内を語りはじめます。
「何も言わなかったよね?」
「チェロ辞めたいって言ったときも、田舎に帰りたいって言ったときも」
「笑ってついてきたじゃない」
「悲しかったんだよ、本当は…」
これを聞いて、「こんなことパートナーに言われたらキツイな~」と私が一緒にいたアメリカ人が言いました。笑
何がキツイのか、気になりますよね!!
それは「その時に、何も言ってくれなかったこと」だそうです。
それを後になって「本当は悲しかった」と言われるのは「オーノー」という感じだそうです。笑
相手のことが好きだから、自分の気持ちは飲み込んで何も言わずに笑顔でついていく。
日本人であれば、共感できる部分も多いのではないでしょうか?!
しかし私が一緒にいたアメリカ人は、どう思うのか我慢しないで言って欲しいというのが正直な意見だそうです。
アメリカには、こんな風に黙って旦那さんについていく奥さんは「けなげで良い」と考える人は、日本ほどいないと思います。
もちろん、そういうのが良いと思うアメリカ人もいると思うので、あくまで私と私と一緒にいたアメリカ人の意見です。
奥さんが笑ってついてきてくれていたら「自分の意見に賛成したと思うよ」と言っていました。
それを後になって、「本当は悲しかった…」と言われたら、「なんで隠してたの?」なんてややこしい話になりそうです。
映画のように「あなたが好きだから我慢した」というニュアンスは、アメリカ人にはなかなか伝わらないのではないかなと思いました。
勝手な妄想なのでスミマセン。笑
アメリカ人のコミュニケーションは日本人に比べるとオープンなイメージがありますが、そういうコミュニケーションをする人ばかりではありません。
ストレートに頭にあることを話す人もいれば、言わない人もいます。
アメリカ人も日本人のように相手の気持ちを考えて言葉を選び、言うべきでないと思ったことは言わない人が多いです。
ただ、自分の本当の気持ちをこの奥さんのようにずっと飲み込んで、ため込んでしまう人よりは、その時にすっと言える人の方が多い気はします。
映画を観ながらこんな話になるとは、私もアメリカ人の方も思っていなかったので、お互い顔を見合って「続きを観ようか」と映画を再開しました。笑
5.小学校の受験
映画「そして父になる」。
息子を取り違えられた夫婦と、父親が本当の意味で父となるまでの葛藤を、素晴らしく繊細な心理描写で描かれています。
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小学校受験で息子と一緒に面接を受ける両親。
ハキハキと面接官の質問に答える6歳になる息子。
その後、ビニール袋をふくらませて遊ぶというテストを受けていました。
「小学校に入学するために面接とテストがあるの?」と驚きながら聞かれました。
アメリカでもプライベートスクールと呼ばれるところに行く場合、私たちが知らないだけで、面接やテストがある場合もあるのかもしれません。
その後、小学校について話がはずみ、私が「日本の小学生は高学年になると、一人で電車通学もするよ」と言うと…
「一人で?!そんなの危ないよ」
確かにアメリカでは、スクールバスか車通学が主流です。
アメリカにも学区があり、バスのルートもいくつかあるので、ルートにそったお家に住んでいればお家の目の前でひろってくれます。
どうしてもお家がルート外である場合、学校に行くよりも近ければ、バスが止まる自宅から一番近い場所まで車で送り、バス通学をさせる人もいます。
あとは、バスのルートの都合上、バスを使うより車の方が便利だったり、それしか方法がなければ車通学だと思います。
アメリカにはバスと車以外手段がない州が多いのと、通勤も車が主流です。
※ニューヨークなど、車以外の交通手段がある場所に住む子供たちがどうしているのかは分かりかねます。
電車通学させたくてもできない環境が多いですが、「日本の小学生は自立しているし、そう教育する親もすごいね」と感心していました。
義理チョコ(おまけ)
映画で見たわけではありませんが、日本独特の文化の1つ「義理チョコ」にも「聞いたことないよ!」と驚いていました。
「有難いけど、義理で何かをもらうのはあまり嬉しくないかな」と言っていました。笑
「自分のことを気にかけてくれたんだ、嬉しいなぁ」と思う人もいると思いますが、そのアメリカ人は「かわいそうに…」という気持ちがついてくる感じがして、心から喜べないそうです。笑
個人的な意見ではありますが、日本の義理チョコは「礼儀」の1つでもあるような気がするので、心からのギフトとして義理チョコをもらえば嬉しいですが、礼儀のためにもらうのであれば複雑な気持ちになります。
礼儀でもらったとしても、礼儀としてホワイトデーにはお返しをしなければならない。
「もらうのは嬉しいけど、お返しがなぁ」と父がよく言っていたのを思い出します。笑
でも義理でも礼儀でも、あげる側としては喜んでくれたら嬉しいという気持ちがあるものですよね!
「この人は礼儀正しいなぁ」ではなく、「気にかけてくれてありがとう」という気持ちで受け取れば、義理チョコがすごく温かいギフトにも思えてきます。笑
バレンタインの文化はアメリカにもありますが、お世話になっている上司にあげるというような考えはありません。
「友チョコ」のようなお友達同士でお祝いすることも、ほとんどないそうです。
アメリカではどちらかと言うと、恋人同士や夫婦でお祝いするイメージです。
バレンタインデーは女性から男性だけではなく、「お互いに」相手のために何か特別なことを考える人が多いので、「ホワイトデー」もありません。
告白文化はアメリカにはありませんが、日頃の感謝や想いを大切な人に伝えられる特別な日です。
バレンタインの話をアメリカ人としていて、同じバレンタインというイベントでも、その国の独自性がでるものだなと思いました。
ハロウィンやクリスマスもそうですよね!アメリカと日本ではお祝いの仕方が異なります。
でもいつしか違った形で、その国の「文化」として馴染んでいくのが面白いなと思いました。