「老後の生活」と言うと、年金制度の崩壊や老後破産など不安になるような話が多いですね。
お金の話は大切ですが、老後の過ごし方を考えたとき、それが楽しみになるような話題はないのか…
そこで「暗い話題ばかりを聞いて不安になるのはやめよう」をテーマに、今回は日本とアメリカを比べ、老後生活に関する明るい話題だけを集めました。
海外移住者の私が知るアメリカ高齢者のリアルな生活、見ていきましょう!
ちなみにシニア(高齢者)って何歳から?
アメリカでは「シニアは何歳から」という定義が、その言葉が使われる時と場合により変わります。
特定のサービスなどを受けれる年齢を、それを提供する会社や団体が個々に決めるからです。
ちなみに連邦政府が管理している、メディケア制度と呼ばれるアメリカの高齢者と障害者の保険制度は「65歳以上」としています。
老後生活の違い日本とアメリカ
シニアメニュー
アメリカではほとんどのレストランにキッズメニューというものがあります。
小学生くらいまでの子供用に用意されたメニューがそろい、少ない量で格安に提供してくれます。
そして州によっては、キッズメニューのシニア版「シニアメニュー」というものがあります!
そのレストランが決めたシニアの年齢であれば、通常メニューの量よりも少なく、格安な値段のものをオーダーすることができます。
写真のレストランは「55歳以上」となっています。
アメリカは基本的に、日本よりもレストランで出される量が多いので、通常メニューから頼むと、わりと沢山食べる私でも持ち帰ることがあります。
それゆえシニアメニューのあるレストランに行くと、「このシニアメニュー私も頼みたい」といつも思います。笑
おつかいピックアップ&デリバリー
アメリカにはなんと、オンラインで欲しいものをオーダーして、自宅まで届けてくれるというサービスがあります。
オンラインといっても、携帯一本で簡単に操作できるようなものです。
少し前までは、サービス代行の業者がスーパーで買い物を済ませお家に届けるというものがありましたが、最近はそのサービスをスーパーがやってくれます。
アメリカの大手スーパー「ウォルマート」を例にしますが、このスーパーがチャージする費用は現時点で、1デリバリーに対し約800〜1000円、または約1300円のマンスリー、または約1万円の年会費というオプションがあるそうです。
もしそれが高いなと感じるのであれば、オーダーした商品をスーパーでピックアップできるサービスがあります。
ウォルマートの入り口付近に冷凍や冷蔵も保管できる大きなオレンジ色の機械があり、お客さんは機械にオーダーナンバーのような物を入力するだけ。
オーダーした商品を機械または横のロッカールームのようなところから受け取れます。
この場合スーパーに行くお店を歩き回る必要がなくなりますし、日本円で約3000円以上のお買い物をすれば、無料でこのサービスを利用できます。
老人ホームではないシニアホーム
アメリカには「Senior Living(シニアリビング)」という、高齢者の方が暮らす場所の総称があります。
シニアリビングには色々なコミュニティーがあり、ケアやサービスが選ぶコミュニティーにより変わってきます。
日本でよく聞く「老人ホーム」は、ジニアリビングの中で「Nursing Home(ナーシングホーム)」と呼ばれるものが一番近いと思います。
サービスの内容は異なると思いますが、日本と同じようにナースによる介護が24時間受けれるような場所です。
そして色々あるシニアリビングの中には、「Active Adult(アクティブアダルト)」と呼ばれる、自立した生活が送れる高齢者の方が住む場所があります。
ここのサービスがすごいです!
私が実際に生活を見せてもらった場所は、18歳以下の子供との同居ができないなどのルールはありますが、55歳以上であれば誰でも住めます。動物も大丈夫です。
そして何より驚くのが、これだけのサービス込でも、州により違いがあると思いますが、家賃がシニアホームではない普通の賃貸よりも安いということ!
アメリカでは高齢者が優遇を受けられる州は多いです。
高い天井、広いキッチン、キッチンから見える広いリビング、広々とした寝室、室内にある大型洗濯機と乾燥機。
3階建てのビルで、エレベーターがあり、お家の中もバリアフリーで段差があるのはシャワールームにあるバスタブくらいです。
ビルに一歩入れば完全室内で、ポストも室内。お部屋の窓はすべて二重構造になっていて、熱気も寒気も一切入ってこず、ホテルのような作りです。
温水プール、映画が見れる大きなテレビやジム、卓球台、キッチンなどがあるレクリエーションルームもあります。家族と集まり誕生日パーティーなどをしたいときは、貸し切ることもできます。
レクリエーションルームでは「映画ナイト」「ビンゴ・ゲームナイト」「椅子ヨガ」など、住民を楽しませる色々なフリーアクティビティが行われ、毎月スケジュール表が部屋に届きます。
中でもそれすごい!と思ったのは、ゴミ出しサービス。ゴミを袋にまとめて、それをゴミ箱に入れて玄関の前に置いておくと回収してくれ、空のゴミ箱だけを残してくれます。
近所のスーパーへ連れて行ってくれる、車での送迎サービスもあります。
便利すぎる車椅子生活
アメリカでは車椅子がどこでも気軽に利用できます。
また電子車椅子という、電子自転車を運転するような感覚で簡単に操作できるものもあります。
アメリカはスーパー、郵便局、レストランなど、どこに行っても通路が広く、車椅子がアクセスできる作りになっています。
でも車椅子だと、引くタイプのドアだと開けられない…そう思いますよね!
法律があるからかもしれませんが、自動ドアでなかった場合、ドアに近い見やすい場所に大きなボタンがあり、それを押すとドアが自動で開くようになっています。(動画に映像があります)
アメリカでは車椅子の利用者が多いので、利用する方に不便がないようにと考えられたシステムやサービスが街中に溢れています。
驚くこと間違いなしな8つ集めました!
1.低いボタン
私が思いつく限りのアメリカにある機械は、すべて車椅子でもアクセスがしやすいように工夫されています。
ここまで!と驚いたのは、アメリカではかなり当たり前になってきたファーストフード店でキオスクでのオーダー。
縦長の機械で上の方のボタンを車椅子からでも押しやすいように、車椅子専用の画面というのがボタンひとつで使えます。車椅子用のボタンを押すと、全ての表示が画面の下のみに現れます。
ちなみに細かい字が見えづらい方用のボタンもあり、画面上の虫眼鏡を使えます。
例えばアメリカのファーストフードでは、ほとんどの場合飲み物がセルフなのですが、その機械にも車椅子用ボタンがあります。座った状態ではタッチパネルが届かないからです。
車椅子ボタンを押して、矢印を使ってお好みのドリンクを選び、誰の助けもなく自分でドリンクをゲットできます。
2.空港でのケア
アメリカでは空港で、スタッフが車椅子を押して案内してくれるサービスがあります。
私が知る限りだと、ゲートをくぐってしまうと同伴者がいず誰も車椅子を押す人がいなかった場合、スタッフが一緒に手荷物検査を通り、搭乗ゲートまで行き、飛行機に乗り込むまでサポートしてくれるはずです。
例えば乗り継ぎがあった場合は、乗り換え先の空港でスタッフが車椅子を用意し待っていてくれます。
乗り換える飛行機の搭乗口まで連れていってくれ、目的地に着いたら、車椅子を押して到着口の家族のもとまで案内してくれるはずです。
アメリカの空港ではよく見る光景で、多くの方が利用しています。
ちなみにゲートの待合でも、車椅子専用の椅子があり、出入りしなくて良いように一番端に設けられています。
3.店内の車椅子用エレベーター
アメリカはどんなお店も、体に不自由のある方でもアクセスができるようにしなければならない法律があると聞きました。
例えば洋服屋さんに行ったとき、「車椅子用エレベーター」というものを発見!
その店舗は構造上数段の階段がついているものの、大きなエレベーターをつける程ではない高さなので、車椅子専用のエレベーターがついていました。
扉を締めてボタンを押せば、床がグイーンと持ち上がるようなシステムです。
車椅子でも「アクセスできるように」というのは「中に入って見て回れるように」という意味ではありません。
スペースが狭い上、構造上階段をつけなければならないような場合「小型カメラとスクリーン」があることがあります!
店員さんは小型カメラで店内の商品を映し、お客さんはスクリーンを見ながらお買い物するといった感じです。
めったに登場する機会はないかもしれませんが、そういうシステムがあるという事実がないと、お店をオープンする際に何らかの法律に引っかかる可能性があります。
ちなみに試着室も、車椅子のまま利用できる大きなものがあるお店も多くあります。写真のように中は広々していて、家族のメンバーと一緒に入ることもできます。
4.スーパーのスーパーカート
スーパーにお買い物に行き、電動でない車椅子に乗っていたり杖をついていたら、かごを持ちながらの買い物は大変です。
歩行器を使っていたとしても、かごをつける場所がないですし、例えスーパーのカートを押しながら歩けたとしても、アメリカのスーパーは広いので、見て回るだけで大変なのです。
でも大丈夫です!アメリカのスーパーには「かご付きの電動カート」があります!前進もバックもできる優れものです。
それは電動車椅子にかごが付いたもので、どこのスーパーに行っても見かけます。
夫婦そろって電動カートに一台ずつ乗り、一緒にお買い物を楽しむ老夫婦の姿を見たこともあります。
自分で運転するのが不安な場合、車椅子を押してくれる同伴者がいれば、大人が座れる椅子がついたカートのあるスーパーもあります。
車椅子から降りれなければ、自分の車椅子につけれるタイプのカゴもあります。
5.映画館
映画館で車椅子の利用がある場合、「車椅子専用のスペース」があります。もちろん車椅子から降りることなく、そのまま映画鑑賞ができます。
同伴者がいる場合は、そのスペース横にある座席に座り、一緒に映画を楽しむことができます。
映画館の扉をあけるとゆるやかなスロープになっている場合がほとんどなので、映画を観に行くにあたり、車椅子を乗り降りする必要はありません。
6.アクセス最短の駐車場
アメリカには「体に不自由がある方専用」の駐車スペースが、入り口から一番アクセスの良い場所に設けられています。
そこに駐めるには「パーキングパーミット」というものが必要で、どんな人がこの許可証を取得できるかという定義がはっきり決められています。
許可証はその駐車スペースに車を駐めたとき、バックミラーにぶら下げておく必要があります。
許可証は自分の住む州や自治体などで取得すれば、アメリカ50州どこの行っても使えます!
7.公共交通機関
アメリカのバスは、車体がグイーンと下がるシステムになっていて、車椅子で利用する歳、入り口から自動で開いたスロープを使い指定の位置まで行くと、座席の位置まであげてくれます。
アメリカの通常のバスは広いので、寝転がって乗るタイプの大きなものでなければ2台乗ります。
同伴者がいなくても運転手さんがサポートしてくれるので、一人でバスを使い外出することもできます。
電車もスロープを出してくれるので乗り降りが可能ですし、車内にも車椅子用スペースがあることがほとんどです。
8.旅先でのバスルーム
アメリカのホテルには、ハンディキャップ専用のお部屋というものがあります。
大きく違うのはバスルームの作りで、まず通常より驚くほど広いです。
シャワールームには折りたたみ式の椅子が備え付けられていて、同伴者が入るときにはたためるようになっています。
ちなみに公衆トイレも必ず車椅子用があります。レストランなどトイレを1つしか用意できない場合は、車椅子でも利用できるように広くなっていることが多いです。
老後も稼げる
州により状況は異なりますが、シニアの需要はものすごく高いです。年齢に関係なく、元気に働けるのであれば、採用のチャンスはあちこちにあるように思います。
実際若い人たちに混ざり、シニアの方がなんとマクドナルドで元気に働いていました。
車の修理に行ったときも、補聴器をつけたかなり年配の方が「え?え?」と何度も聞き返しながらも、受付で対応してくだりました。笑
アメリカのコストコでサンプルを配ってくれるのはほぼ高齢の方で、コストコのパソコン売り場ではかなり年配の方が「電子機器担当」として接客してくれました。
アメリカのアップルのお店では、20〜40代くらいの方が多く働いていますが、(こちらの勝手な予想ですが)60代くらいの方に接客してもらったこともあります。
日本ではシニアのイメージがあまりない職種であっても、州にもよりますがアメリカでは「働く力」として高齢者パワーは大歓迎されています。
アメリカでの老後生活
高齢者の方への配慮は、体の不自由な方への配慮にもつながるので、アメリカはそういう面で素晴らしいなと思います。
「55歳以上」というシニアと呼ばれるには少し早いような年齢の制限もありますが、早いうちから恩恵が受けられるのはいいですよね。
アメリカにも老後の問題はありますが、今回少しでも多く「いいね!」と思えるものを見つけてもらえていたら嬉しいです。